−Private Time−
島に到着してみんなは上陸、私とゾロは船番になった。
春島の夏らしく爽やかな暑さと雲ひとつない快晴の下、私たちは蜜柑畑の木陰で寛いでいた。
私の膝の上にはゾロが頭を乗せて寝っころがっている。
見た目によらず意外にも柔らかなその髪に指を通して撫でる。
戦闘している時からは想像できないほど無防備な顔につい頬が緩む。
近くにあった蜜柑をひとつもぎ取ると、ゾロが方目を開けてこちらを見た。
「勝手に食ったらナミに怒られるんじゃねーの?」
「大丈夫、ちゃんと許可もらってるから」
そう言うと、つくづくあの女はお前に甘ェなとゾロが呟いた。
「ゾロも食べる?」
「・・・皮剥いてくれんなら食う」
小さなワガママが可笑しくて小さく笑みを零しながら、私は蜜柑の皮を剥いて丁寧にスジを取った。
「はい、剥いたよ」
蜜柑を差し出そうとすると、ゾロがぱかっと口を開けた。
・・・食べさせろと?
つい吹き出してしまい、笑いながらその口に蜜柑を落とした。
笑われたのが気に食わないのかぶすっとした表情のままもぐもぐ食べるも姿がいっそう私の笑いを誘う。
「美味しい?」
「・・・甘ェ」
そんな事を言いながらももっとよこせと、無言のまままた口を開けてねだる。
私は剥いた蜜柑をまたひとつ、またひとつと口に入れてやる。
なんだかひな鳥に餌をやってるみたいだなと思い、また笑った。
食べ終わるとゾロは私のほうに顔を向けて横になり、腕を私の腰に回した。
それを黙って見ているとゾロが横目でちらりと私を見た。何か言いたげに。
・・・もしや頭を撫でろと?
私は口を押さえて体を震わせながらゆっくり頭を撫で始めた。
するとまた満足げに目を瞑る。
あーもうっ、なんでこの人こんなに可愛いんだろ。
世間じゃ魔獣だのなんだのって恐れられてるっていうのに。
ゾロは時々こうして私に甘えてくれる。
それは決まって他のクルーのいない二人きりの時。
だから二人で船番するのが私は好きだ。
私しか知らないゾロがいるのが嬉しい。
強くて格好いいとこも、ストイックに鍛錬を重ねる姿も、迷子になって困ってる顔も
お酒を飲んで嬉しそうに笑う顔も、クルーと子供みたいに喧嘩する姿も
みんなみんな好きだけれど
私にだけ見せてくれる甘えた姿は特別好きかもしれない。
木陰にそよぐ風は心地よく、蜜柑の甘い香りが辺りを包んでいる。
波の音を聞きながらいつのまにか寝息をたてはじめたゾロに頬を緩ませた。
その柔らかな髪を撫でながら、私はクルーが帰ってくるまでのこの贅沢な時間を噛み締めていた。
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仏頂面で甘えるゾロって可愛いと思って