−不機嫌な彼女−
「もうヤダッ!死にたい・・・」
は俺の膝の上で苦しそうに顔を歪めて呻いた。
「物騒なこと言ってんじゃねェよ」
「ゾロはこの苦しみが分からないからそんな呑気にしてられんのよ!」
あ〜とか、う〜とか喚くにため息を吐く。
「ちょっとぉ、今面倒くせェって思ったでしょ!?」
「面倒くせェに決まってんだろうが。アイツなんとかしろよ」
ラウンジ前からこちらをものっすごい形相で睨んるアホを顎でさす。
「膝枕されてェならアイツに頼みゃあ良いじゃねェか」
「やだよぉ、生理とか言うの恥ずかしいじゃん」
「俺は良いのかよ・・・」
「いいよ、ゾロだもん」
・・・どういう意味だそりゃ。
コイツは昔っから生理っつーやつが酷いらしかった。
普段は温厚で人当たりのいい性格だが、この時ばかりはすこぶる機嫌が悪くなる。
自覚はあるらしく、そういう時は極力人に近づかないようにしているようだが
なんせ長い付き合いのためそんなに遭遇することも度々あった。
そしていつのまにやら俺はそんな時のワガママを聞いてやる役割が定着しちまっていた。
「この船乗ってからはこんなん無かったから、てっきり治ったもんだと思ってたぜ」
「この船には名医がいるからねぇ・・・ほんと、あのクスリもらった時はチョッパー神様に見えたよ・・・」
「今回もそれ飲めば良いんじゃねェのか?」
「あったらとっくに飲んでるよ。きれちゃったんだって、材料が。あぁぁぁ〜もうヤダ〜痛ぃ〜〜〜」
心底辛そうな様子にさすがに心配になって頭を撫でてやると少しだけ表情を和らげた。
「ゾロぉ・・・頭じゃなくて、腰さすって・・・?」
「あァ!?」
「イダイ〜〜〜〜〜早くぅ〜〜〜〜」
しぶしぶ腰に手を伸ばすと、後方から刺さる視線がいっそうイタくなった。
「お前、あのクソコックすげェ顔してんぞ?いいのかよ」
「何ゾロ、サンジが怖いの?」
「怖ェ訳あるかあんなぐるぐる!」
「いいからもっと撫でてよぉ〜!」
・・・くっそ、なんで俺はこんな理不尽な恨みを買わなくちゃならねェんだ!
俺はコイツに扱き使われてるだけだぞ!?なのにあのバカにまで後で絡まれなくちゃならねェなんて・・・
何の得もねェのに、割りに合わねェっつーか納得いかねェ!
ぶつくさ頭で不満を並べながら腰をさすってやると、ふいにがちらりとこちらを見た。
「ごめんねぇゾロ・・・悪いとは思ってるんだけど・・・」
しゅんとするを前にしてがりがりと頭を掻く。
まったく、生理中の女っつーのは感情の起伏が激しくて困る。
あー・・・ったく、しょうがねェなァ。
まぁいつもならコックの気持ちだのなんだの考えてやるんだろうけど、今はそれに気が回らねぇくらい辛ェんだろう。
他のクルーにワガママ言ったり、あたり散らしたりしたくなくて
気を使わなくていい俺のところに真っ直ぐ甘えにきたんだ。だったら。
「別にお前ェのワガママくれェいつでも聞いてやるよ。いいから寝とけ」
頭をわしわしと撫でてやると、はくすぐったそうに身をよじった。
「・・・あぁぁぁあぁあぁ・・・・痛〜い・・・死にた〜い・・・もう女やめた〜い・・・」
・・・すげェな、どんだけしんどいんだよ。
「はぁ・・・男に生まれてくれば良かった・・・」
それはコックが泣くんじゃねェのか?っつーか俺も嫌だ。
少しでもコイツが楽になる方法はないかと頭を捻る。
「なんか温まるもんでも飲めばちったーいいんじゃねェか?」
「あー・・・いいかも・・・」
おし、じゃあ持ってきてやると立ち上がろうとするとぎゅっと掴まれた。
「ぃやだぁ!ここにいてくんなきゃ、やだよぅ・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・」
・・・おめェ、不用意に涙目で見上げんじゃねェよ・・・・・・可愛いじゃねェかコンチクショー。
こんなセリフを吐かれたなんて知った日にゃ、コックぶち切れんだろうな。
「けどこれじゃあ何にも持ってこれねェ・・・」
「じゃあいい、いらない」
そういうとは俺の脚にしがみついた。
おーおー、コックが嫉妬で燃え狂ってんのが見なくても分かるぜ。
にやりと口端を上げながら座りなおしての頭を撫ぜた。
前言撤回。意外と役得だなこりゃ。
コックの嫉妬でも理不尽な怒りでもなんでも受けてやろうじゃねェか。
だから気の済むまで甘えとけ。
その間お前を独占出来んならそれも悪くねェ。
どんなワガママでも聞いてやるよ。
「ゾロ、痛いの変わって」
「そりゃ無理だ」
可能な範囲でな・・・
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月1で女の子やめたくなる日。