−STARGazer−
「こりゃすげぇ・・・」
ラウンジから出た俺は、空を埋め尽くす一面の星に思わず声を上げた。
・・・さんに見せてェなぁ
そう無意識に思ってしまった自分に気づき苦笑する。
本当に俺の頭の中には彼女のことしかないらしい。
女部屋の方向へ視線を向けるが、こんな時間に入れるはずも無いと首を振った。
そのまま腰を下ろしてラウンジの壁に寄りかかる。
煙草を銜えてマッチを擦ると一瞬だけあたりを明るさが包んだ。
会いてェなぁ・・・
数分前まで一緒に居たくせに、もうそんな事を思ってしまう。
ラウンジで他愛も無い会話を交わして笑いあった。
部屋へ戻ろうと立ち上がった彼女をつい我慢しきれず抱きしめた。
何か言おうと思ったが、どうしてか胸がいっぱいになって何も出てこなかった。
腕を緩めると、見上げてくる彼女ははにかむような笑顔で
いっそう胸が切なく締め付けられた。
おやすみなさいと微笑んで出て行く後姿を
引き止めたいと、追いかけたいと思う衝動をぐっとかみ殺した。
いつまで経っても必死で片思いしてるような自分に呆れてしまう。
いつになったらもっと余裕でいられるようになるのだろう。
もしかしたら一生このままなのかもしれない。
でも、その相手が彼女ならそれで構わない、なんて・・・
「アホか俺は・・・」
ひとりでそんなこと考えて赤面してるなんて本当に馬鹿みたいだ。
誰も見ていないのに赤くなった顔をつい手で隠した。
同じ船に居るくせに、俺がこんなにも会いたいと思っていることなんて
きっと貴女は知る由もないだろう。
知ったらなんて言うだろう?
呆れるだろうか。バカねと笑うのだろうか。
彼女の柔らかな笑顔を思い出して口元が緩んだ。
ふと、ロビンちゃんの能力があれば良いのになんて考えが過ぎった。
そうすれば手を咲かせて誰にもばれずに彼女を呼び出せる。
いつでも簡単に会える・・・
・・・っていうか目を咲かせればいつでも見放題か?
着替えも風呂も・・・うぉぉぉ・・・
「なんってオイシイんだハナハナの実・・・」
さっきまでのセンチメンタルはどこへやら
いつの間にか頭の中は邪な思いでいっぱいだ。
っつーかそれじゃあストーカーだよ、とようやく気づいて自分でツッコんだ。
盛大な溜息みたいに煙を吐き出して、また星を見上げる。
あと数時間もすりゃ夜が明けてまた会えるっていうのに
待ちきれないなんて、遠足前のガキみたいだ。
そう思う、思うけど、やっぱり・・・
「クソ会いてェ・・・」
小さな呟きは暗闇の中に煙みたいに消えた。
ねぇさん
今、あなたに、とても会いたい・・・
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敬愛する同名サイト様へ捧ぐvv