−BEFORE DAWN−
真夜中に女部屋で行なわれたパジャマパーティ。
布団に潜ったままお酒の入ったグラスを傾けて、途切れなく話題を紡ぐ。
話題はこの船の無鉄砲でお馬鹿な男共のこと、グランドラインの有り得ないような冒険譚、
とサンジ君の恋の事(これには結構ロビンも突っ込む)、そして自分達の過去の話・・・
は話すのも上手だけれど、話を聞くのも本当に上手い。
心地いい相槌を入れて、上手に話を促す。
だからこっちもついついのって話し込んでしまうのだ。
いつもは言葉少ななロビンですらそうなのだから、一種の才能だと思う。
懐かしいココヤシ村のこと。ノジコやゲンさん、そしてベルメールさんの話。
小さい頃にした悪戯、それで怒られた時のこと、その時々に思ったこと。
優しい雰囲気に包まれ語りながら、懐かしく当時の思い出に浸る。
暗くなるような話はしたくなかったけれど、なんだか止まらなくなってしまって
ベルメールさんとの別れや、その後の辛い数年間の事もつい口にしてしまった。
やはりそれは私の顔を歪ませ、胸を締め付け、目頭を熱くしたけれど
それ以上にが泣きだしたものだから、私の方は引っ込んでしまった。
その泣き方がすごくて、まるで子供みたいに泣きじゃくるから
私はなんだか笑けてきてしまって、笑いながら私も涙を流した。
ロビンはそれを静かに慈しむような表情で見守っていた。
色んなものを洗い流すみたいな涙は心をすっきりさせた。
なんだか全部さらけ出したような気になって
泣き終わった私たちは可笑しくなっていつまでもくすくすと笑った。
やがてとろとろと気持ちいい微睡みを漂った。
言葉にはしなくても優しさに包まれているのを感じていた。
そして子供みたいにすとんと眠りに落ちたのはもう夜明け前のことだった。
おかげで、今日は見事に目が腫れてしまい
ラウンジに入ると私たちを見たサンジ君がぎょっとした顔をした。
何事かと心配そうに尋ねられて
私たちは一瞬顔を見合わせると、もう箸が転がっても可笑しいというように笑った。
訳が分からないと困惑顔でハテナをいっぱい浮べるサンジ君にいっそうそれは止まらなくなってしまった。
もロビンも私より年上だけれど
あまり年齢っていうものが意味をなさないこの船の上では対等に付き合っていると思う。
ロビンには自分にない雰囲気を面白がるかのような好奇心でもって会話を楽しんだり、女として触発されたりする。
には一緒にバカをやれる楽しさと、包み込まれるような優しさに時折甘えさせてもらう嬉しさがある。
三人で一緒にいる空気がとても好きで、この船に同性のクルーが増えたことを本当に嬉しく思った。
「パジャマパーティ? あぁ、そういや昨日何本かお酒持っていってたっけ」
夜、ラウンジで航海日誌を書きながら皿洗い中のサンジ君に昨夜のことを話した。
煙草を口で揺らしながら、ようやく今朝のことに合点がいったというように彼は頷いた。
「なーんかにはついつい話し込んじゃうのよねぇ」
聞き上手だとか、が生み出す空気の事だとかを口にすればサンジ君が訳知り顔で賛同した。
「そうそう、さんてそういう人だよね」
くすくす笑いながら、のことを思い出してか蕩けそうな笑顔が顔から溢れている。
まぁいつもなら惚気るような様子をいなしたり、見てるこっちが恥ずかしくなったりするころなんだけど・・・
なーんか今日は面白くないわねぇ・・・。
なんだろう、その“俺の方がさんを知ってる”的な雰囲気が癪に障るというか・・・
(別に本人はそんなつもりじゃないんだろうけど)
こっちだって同性だからこそ共有できるモンってのがいっぱいあるんだからね?
と子供のように張り合いたくなった。
そんなことを思っているとラウンジの扉が開いて噂の張本人が入ってきた。
予想に違わずサンジ君は満面の笑みを恥ずかしげもなく露呈している。
うーん、やっぱり面白くないわ。
を取られた感じがするのは、昨晩とても近くに感じられたからかもしれない。
ちょっとイジワルしてやりたくなってわざとに甘えて擦り寄った。
私がこうするとは存分に甘やかしてくれるのをもちろん承知の上で。
「〜。せっかく大きなお風呂になったんだし、今日一緒に入らない?」
「いいけど、珍しいね?」
「いいじゃないたまには。女同士の親睦を深めるのも大切でしょ?」
言いながらに抱きつき、勝ち誇ったようにサンジ君に笑みを向ける。
するときょとんとしながら、銜えた煙草がちょっと落ちそうになった。
―――羨ましいでしょー?
―――ええ、そりゃもう心底クソ羨ましいです・・・
そんな無言の会話に気づかずに、は楽しげに笑ってじゃあ行こうかと促した。
大浴場に向かいながらきゃっきゃとはしゃぐ。
「せっかくだしこの前の島で買った入浴剤入れない?」
「いいね!あ・・・でもあれさ、確か薔薇の香りでピンク色じゃなかったっけ・・・?」
「うん、そうだけどなんで?」
「・・・まだゾロとかお風呂入ってない、よね・・・?」
「「・・・・・・・・・・・・・」」
顔を見合わせた私たちは盛大に噴出した。
「にっ、似合わな過ぎる!ひーっ!想像するだけで可笑しい!!」
「行こう!早く行って入れちゃおう!」
「なんなら花びらとかも浮べる!?」
「きゃはははははっ!!それ良いっ!」
涙を浮べて笑いながら女部屋へ準備しに行き、ロビンも誘って三人でお風呂場へと向かった。
―――見てなさいよ?サンジ君やゾロにだけを独り占めなんてさせないんだからねっ!
心の中で男共に宣戦布告して、私はにんまりと笑った。
トレーニングルームでゾロがぶえくしょんっと盛大にクシャミをし
ラウンジではサンジ君が「俺の最大の恋敵ってナミさんなんじゃあ・・・」と一人呟いていたことなど知る由もなく。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
初女の子夢v