−しょうちのすけ−
鬱蒼と茂るジャングルの中、宴と称して酒を煽る赤髪海賊団の中に来訪者が二名。
その一人である私の視線は少し離れたところで静かに酒を嗜むもう一人の来訪者、ジュラキュール・ミホークに注がれていた。
「がいまだに鷹の目の追っかけやってたとはなァ」
「追っかけって言わないで!」
隣に座る赤髪の船長は私をからかい豪快に笑う。
「初対面でいきなり『結婚して!』だもんなァ〜」
シャンクスにだっはっはと笑われて赤面する。
若気の至りとはいえあの日のことを思い出すと今でも顔から火が出そうだ。
ミホークに出会ったのは彼が私の村に来た日のこと。
海賊に絡まれた私を彼が気まぐれで助けたのだった。
赤子の手を捻るようにあっさりと海賊達を倒す様を呆然と眺めているとふいに目が合った。
その金色の瞳を見た瞬間、体に稲妻が落ちたような衝撃が走ったのだ。
気づけば飛びついて求婚を迫っていた。
あの時のミホークの顔は一生忘れないだろう。
あの、苦虫を噛みつぶしたような・・・
以来私はずっとミホークを追い続けている。
見事なまでに相手にされず、脈は全くといって言いほど無い。
人からは鷹の目なんてやめておけと散々止められた。
私なんかには到底手に負えない男だなんて分かっている。
けど、こればっかりはやめられないんだ。
「ほどの美人なら群がる男は山ほどいるだろうに、わざわざあんな偏屈に執着しなくてもいいだろうが」
シャンクスの囃し立てるような言葉に不敵に笑って返す。
「簡単に手に入るような男なんて興味ないもの」
言い放つとシャンクスは面白そうに目を細めた。
「はイイ女だなァ。鷹の目なんて止めて俺にしとけよ」
「ごめんね、私ミホーク一筋だから」
にこぉっと笑うとシャンクスは降参とばかりに肩をすくめてみせる。
「アレに付きまとってたら、そのうち暇だからなんて理由でばっさり斬られるかもしれねェぞ?」
「これまでだって何度も危ない目にあっただろうに・・・」
ヤソップがからかい、ベンが呆れたように言う。
誰かに笑われようと忠告されようと知った事っちゃない。
バカなのは百も承知だ。それでも・・・
再び視線をミホークに向けると、ふいに目が合った。
そう、あの目が好き。
あの人を射るような強い強い眼差し。
あの目で見つめられるだけで体が疼く。
あぁ・・・たまんない、ゾクゾクする・・・
これだから止められないんだ。
絶対に無理だと言われるほどに燃える。
それほどの相手を手に入れた時の快感はどれほどだろうか―――
恐らくは酒というよりミホークの目に酔ったのだろう。
私は酔いつぶれていつの間にか眠ってしまった。
「まったく、お前も素直じゃねェなァ」
「何の事だ」
「とぼけんな。お前がこんな女の子一人くらい振り切れねェ訳無ェだろうが。
ぎりぎりの所で追っかけさせるなんて、お前も器用なことするよなァ。気に入ってんなら早く手出しゃいいじゃねェか」
「フン、おぬしには関係の無いこと」
「はっはーん、実はお前怖いんじゃねェか?手出したら本気になっちまいそうで。可っ愛いトコあんじゃねェか、うりうりっ」
「・・・どうやら右腕も失いたいよだな」
「ぎゃーーー!待て待てッ!剣を構えるなッ!!!」
そんなやりとりなど知らずに私は夢の中にいた。
駆け引きなんて出来るほど器用じゃない。
いつもただひたすらにぶつかるだけ。
それでも、たとえどんなに遠くたって、足掻いて足掻いて足掻きまくったら少しは距離も縮まる気がするの。
いつか絶対あなたを手に入れてみせる。
だから・・・
「覚悟・・・てな・・・さい・・・ミホ・・・・ク・・・・」
幸せそうに呟いた寝言にミホークはにやりと口端をあげた。
「フッ・・・承知致した」
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ぎゃーッごめんなさい!出来心でミホ夢!ごーめーんーなーさーいー…