−Sunshiny Magic−



はぁ〜あ・・・

船尾で重いため息を吐く。船縁に寄り掛かりながら座り込んで空を仰ぐ。


なんて事は無い、ただのつまらない嫉妬。
彼の振る舞いはいつも通りだし、たまたま私の心に余裕が無かったんだ。きっとそれだけのこと。

別に彼の気持ちを疑ってる訳じゃない。でもそんな思いとは裏腹に心が勝手にドロドロする。
だけどそんなの気付かれたくなくて、船尾に逃げるようにやってきた。
余裕なんて本当は全然ない癖に、彼の前では何食わぬ顔で大人振りたいだなんて。
素直に気持ちを伝えることも出来ない癖に、嫉妬だけは一人前だなんて。
やだやだ、バカみたい。
こんな自分が心底嫌だ。あぁ、心根が醜い。心が・・・



「不細工だなぁ・・・」
「何言ってんだ?は美人じゃねーか」



ぽつりと呟いた独り言に、思いがけず返事が返ってきてびっくりする。
いつの間にか目の前にやってきていたルフィが私の顔を覗き込んでいた。

でもそれ以上にこの船長から“美人”だなんて単語が出てきたことに驚いた。
くすぐったい気持ちになってしまい、それを誤魔化すようにおどけて話す。

「へぇ、私は美人だったのか」
そ知らぬ顔で言ってみれば
「そうだぞ、知らなかったのか?」
なんて真面目に聞き返された。
言葉遊びのようなやり取り。
もしかしたら私はルフィに甘えたいのかもしれない。
なんだか可笑しくなってきてしまって、クスクスと笑ってしまう。
「うん、知らなかったなぁ。ダメだね私は」
「ああ、ダメだ!」
ついに堪えきれなくて吹き出してしまった。
笑う私に満足そうに、にぃっと口端を上げるとルフィは私の膝の上にごろりと横になった。

「やっぱりは笑ってる方が良いな!」

どうやら慰められてしまったようだ。ちょっと情けない。
でもルフィの言葉は飾らなくて真っすぐで、とても暖かくて。
だから私も素直に「ありがとう」と笑顔になれた。


「それにしても、ルフィがこんな風にしてくるの珍しいね」
眠かったの?と聞いてみると意外な答えが返ってきた。
「いっつもサンジやゾロばっかりに甘えてずりぃからな!俺も甘えるんだ!」


・・・あのデカイ図体二人とのやりとりを思い出しながら
果たして甘えと呼べるものなのかは甚だ疑問だと思ったけれど
甘えてェ!なんて高言して膝枕されているルフィが可愛くて、異論も唱えず顔を緩めてしまった。
その髪をゆっくりと梳いてやるとルフィはにししっと笑う。

「気持ちい〜な〜」
本当に気持ち良さそうにするからこっちまでつられて綻んでしまう。


な〜んか、いいなぁ。
ルフィといるとさっきまでの心の刺々がまぁるくなっていくみたいだ。



穏やかな陽射しの下、そよぐ風に二人で微睡む。



「ねぇ、ルフィ。もしも・・・
 もしも私がゾロの知り合いじゃなくても、この船に乗せてくれた?」


ふと言葉に出してから、自分で驚いた。何気ない世間話のつもりだったのに
私はこれを意外と気にしていたんだ、ということに気づいてしまったから。

始めはただ弟分のゾロが心配で、その側にいる為っていう名目だった。
けれど気付けばこの船はいつのまにか私の居場所になっていて
ゾロの知り合いとかじゃなく、一クルーとしていたいと
それを船長のルフィに認めてもらいたいと、ずっと思っていたのかもしれない。
そんな自分に心の中で少し苦笑する。


「ん〜、そ〜だなァ・・・」


ふぁ〜っと欠伸をしながら、もしもなんて分かんねぇけどよォ・・・と
ぽつりぽつり言葉が紡がれる。


「きっと、がゾロの知り合いじゃなくても、を連れてきたのがサンジじゃなくても
 は仲間になってたと思うぞ」

っていうかよ!といきなりルフィはぱっちり目を開いて声を張った。


「もし誰もを連れてこなかったとしたら、俺がを見つけてたな!そんで仲間にしてた!」


絶対そーだっ!とご機嫌で言い切るルフィにちょっと圧倒された。

「・・・面識ないのに?」
「おうっ!」
「なんで、そう思うの?」
「ん〜勘だ!!」


本来ならばそんなの根拠になんてなるはずないのに、ルフィにかかれば信頼できる理由になってしまうから不思議だ。
期待していた以上の嬉しい言葉をもらって胸がいっぱいになる。


「ルフィ・・・私ルフィのこと大好きよ」
「おうっ!俺もが大好きだっ!」

またも、にししっと笑うルフィの笑顔に、笑顔が似合うのはルフィの方だと思った。
どんなに沈んだ気持ちも元気にしてくれる太陽みたいな笑顔を見ながら、
本当にこの船のクルーになれて良かったと、改めて思った。








しばらくしすると、給仕に勤しんでいたサンジがこちらに気づいてフリーズした。

「・・・クーーソーーゴぉーームぅぅぅぅぅーーーー!!!」

烈火のごとく怒り狂うサンジに蹴り飛ばされそうになり、ルフィが慌てて避ける。

「なんだよ!別にいいじゃねェか!」
「良い訳あるくぅわぁぁぁあ!!!さんに膝枕してもらうたァ何様のつもりだ!」
「良いんだ!は俺のこと大好きなんだから!」
「調子こいてんじゃねェぞクソゴム!一万枚にオロしてくれるわ!」
「だってがそう言ったんだから間違いねェ!」

なぁ!?と同意を求められたので、にっこり笑って肯定してみせた。
それを見てサンジがワナワナと震えだす。

「な・・・ん・・・だ・・・とぉぉぉお!?
 俺だってまだそんなこと言ってもらってねェのにっ・・・!クソ野郎!マジでぶっ飛ばす!!」
「ぎゃーーーーーーーーーー!!!」



怒り狂ったコックに船長が追い掛け回されるのを見ながら
私が嫉妬していたはずだったのに、いつのまにか立場が逆転していることに気づいて可笑しくなった。
慰めてくれるだけじゃなく、ラブコックな彼への復讐までしてくれたルフィにこっそりと感謝した。











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 「私サンジに好きだって言ったでしょ?」「“大”好きはまだです!」「・・・・・」