A to Z−


「ルフィ本当に私のこと好きなの!?」
「おう!好きだ!」

躊躇うことなく言い切られてしまえば、聞いたこちらの方が照れてしまう。
しかしここでほだされてはいけないとふるふる首を振り、は再びルフィを睨んだ。

「でも私たち全然恋人っぽくない!」
「そぉかぁ〜?」
「そうよ!だって付き合う前と何にも変わってないもの!つまんないッ!」
「おれはといられりゃつまんないことなんかねェけどなァ」

ストレートなセリフには危うくきゅんとしかけたが、ここで負けてはダメだと頬を膨らました。
そんなにルフィは困惑した様子を見せる。

「んじゃどうすりゃいいんだよ?」
「これから死ぬほどいちゃいちゃする!ダメっていうのナシね!」
「お、おうっ!かかってこい!」

かかってこいって喧嘩じゃないんだから・・・なんて呆れてみただったが恋愛経験値の低さはお互い様。

「んで、いちゃいちゃって具体的にどうすりゃいいんだ?」
「どうって・・・・・どうすればいいんだろう?」

う〜ん、と二人して首を傾げてしまった。



ならば誰かに教えを請おうと、二人が向かった先はラブコックのいるラウンジ。
手を繋いで中に入ると、コックは今まさに料理の真っ最中だった。

「サンジくーん」
「あ、ちゃんいらっしゃ・・・いって、てめェ何オイシイ思いしてんだクソゴム!」
「別に美味しい思いなんてしてねェぞ?まだ何にも食ってねェ」
「ったりめーだ!そう簡単にちゃんを食われてたまるかッ!」
噛み合わない会話で何故かヒートアップするコックには本題を告げた。

「あのね、サンジ君に聞きたいことがあるの」
「なんだい?なんなりとお尋ねください、プリンセス」
「あのさ、いちゃいちゃするってどうすれば良いのか教えてくれない?」
「・・・いちゃいちゃ?」
「うん、恋愛の達人のサンジ君なら分かるかと思って」

“恋愛の達人”と言われ調子にのったサンジは、するりとに近付きその手を取った。
「フッ、そういうことでしたらこの永遠の愛の騎士サンジにお任せくださいプリンセス。この身を持って手とり足とり・・・」

ん〜っ、との手の甲に口づけようとしたサンジをルフィが間に入って阻止した。
といちゃいちゃして良いのは俺だけだぞ!」

守るかのように立ちはだかるルフィの後ろではキラキラと目を輝かせる。

「ルフィ!今のいいよ!なんかすっごい嬉しかった!
 他の男からおれが守る!みたいな感じがトキめいたよ!なんだルフィ、やれば出来る子じゃん!」
「お?なんだそうか?にしししッ」

よく分からないがに褒められ気を良くしたルフィは上機嫌になった。
その一方で一瞬にして蚊帳の外にされたサンジは青筋立てながら恨みがましい視線を向ける。
「・・・いちゃつくんなら外でやってくれねェかなァ」

サンジが何故怒っているのか分からないものの、そのやばそうな雰囲気だけは察知したためすごすごとラウンジを後にする。



「結局分からなかったねぇ」
「そうだなァ、んん!よしッ、次はゾロに聞こう!」

寝ている姿が目に止まったからという安易な理由でゾロを指差したルフィには眉をしかめた。

「えー?ゾロそういうの分かるかなぁ?」
「とにかく聞いてみりゃ分かるさ!」

船縁に寄りかかり、ぐーすか眠りこける剣士に呼びかける。
「ゾロー」
「・・・あァ?」
「あのさ、いちゃいちゃするってどうすれば良いのか分かる?」
「ハァ?」

またアホなこと言いだしやがってとバカにしたような顔を向けるゾロを、は違うふうに理解した。

「やっぱりゾロには分かんないか」
「やっぱりってなんだよ・・・。ったくアホくせェな、ンなにいちゃつきたきゃセックスでもすりゃあ良・・・」
言い切らないうちに空から振ってきたヒールの高い靴が緑髪の頭にクリーンヒットした。

「痛ッ・・・!?ナミ!テメー何しやがる!」
「真っ昼間からアンタは何考えてんのよ!」
ナミは見張り台からゾロに怒鳴ると、今度はルフィ達に向かってにっこり微笑んだ。

「二人ともー、良い?いちゃいちゃっていうのは二人きりでするもんなの。見張り台変わってあげるからここでやんなさい?」
「いいのナミ!?ありがとう!」
「うふ、気にしないで〜。その代わり見張りもちゃんとするのよ?」
「体よく見張り押しつけただけじゃねェか・・・」
ぼそりと呟いたゾロの頭にはもう片方の靴がぶつけられた。



見張り台の中に入った二人はとりあえずくっついてみようという結論に至った。
が、しかし。知識は乏しくともルフィも男の子。
さっきのゾロの明け透けな物言いに触発され、それに追い討ちをかけるかのように密着する好きな子の体。
無邪気に擦り寄ってくるのせいで、ルフィの体は結構大変なことになり始めていた。

そんな事とは露知らず、は向かい合わせでルフィの膝の上に馬乗りになるという無知ゆえの大胆な格好をし始めた。
辛抱堪らん状態に追いやられたルフィは、とりあえずの胸にぺたっと手を置いてみた。

「ぎゃーーーーーーー!!何してんのルフィ!!?」
「いちゃつくんだからいいじゃねェか」
「ここここういうのは違うでしょ!?なにエロマリモに触発されてんのよ!」
「うるせェ!俺だって今どうしようもねェくらいすんげードキドキしてんだぞ!」
「逆ギレか!!」

二人して真っ赤な顔で怒鳴りあう様はムードの欠片もない。
そのうえ狭い船内。全クルーがデバ亀状態だ。初々しい二人に周囲の方も赤面してしまう。

「まったく・・・聞いてる方が恥ずかしいっつーの」
「フフッ・・・二人とも可愛いわ」
「ウソップー?なんでおれの耳塞いでんだ?」
「チョッパー、お前にはまだ早ェ・・・」
「ったく、誰がエロマリモだコラ・・・」
「クソゴムが・・・あとで捌いてやるッ!」


全て筒抜けとも知らずに二人は相も変わらずぎゃーぎゃーと騒いでいる。
どうやらこれが二人のいちゃつき方のようだ。

こうして麦わら海賊団唯一の公認カップルは船員に見守られながら成長していくのだった。






・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
AからZまで見守られ・・・るのはさすがにまずいですねw