++ ルック ++



「あんのガイコツほんっと腹立つわ〜」


だってあの人を小バカにしたような態度どうなの?なんだヨホホって。
もう私をムカつかせるために生まれてきたとしか考えられないんだけど。
あんな堂々としたセクハラ受けたことなんて生まれてこのかた無いわよ。
最近じゃ朝の挨拶のようにパンツ見せろとか言い始めやがって。
大体他のクルーとちょっとキャラ被ってんだっつのあの似非紳士め!

まぁそこまで言うほどのことでもないのかもしんないけどさぁ。
な〜んか癪に触んのよねぇあの骨男。
生理的にムカつくっていうか・・・ん〜なんか違う気もするけど。
正直自分でもなんでいちいちあの男が癇に障るのかイマイチはっきりしない・・・

まぁいいや!アイツが腹立つことに変わりないんだから。
こうなったら仕返ししてやる!
自分がされて嫌だと思えばアイツだってちょっとは改める気になるでしょ。
ふっふっふ〜、見てなさいよセクハラ骸骨!
今日の私は一味違うんだからねっ。



企みに胸を躍らせながら早朝の甲板へ出て行くと
いつも通りあの骸骨はもう早々起きて芝生の上でバイオリンの手入れをしていた。
光の下に出られたことが嬉しいらしく、アイツはいつだって早起きだ。
ったく、お前は老人かっ!・・・あ、年齢的には老人なのか。


側へと歩いていくとこれまたいつも通りにシルクハットを上げて挨拶してみせる。


「ヨホホホ!おはようございますさん、今日はお早いのですね。
朝一番に顔を合わせるのが麗しい女性だなんて光栄ですよ!
んビューーーティフォーーー!記念にパンツ見せていただいてもよろしいですか?」

ンなんの記念だ!・・・いや、待て。ここでツッコんだらいつもの二の舞。
ふっ、今日はやられっぱなしの私じゃないんだからね!

「ヨホホホ!そんな私のパンツなんて見たってしょうがありませんよ!
それより恥骨見せていただいてもよろしいですか?」
「ちこ・・・っ!?レディーがそんなこと言うものではありませんよっ!?」
「紳士のくせにセクハラするあなたに言われたくないですヨホホ!」
「そ、それは私の真似ですか?ヨホホって付ければ私の口調になるとかじゃないんですが・・・」
「うるさいヨホ!」
「なんか語尾みたいになってますけど!?」


突然口真似され始めてブルックはおろおろしている。
ふはははっ!良い気味だ!
目には目を、歯には歯を、ヨホホにはヨホホをだ!


「一体どうなされたんですか、突然私の真似なんて・・・?」
「同じことされて自分が普段どんだけうざいか知れば良いヨホ!」
「うざ・・・っ!?グサーーーーッ!スカルショーーーック!!」


落ち込んで地面に崩れ落ちていく骨を腕組して見下ろす。
へへんっ、落ち込んだふりしたって許さないんだから!
どうせこのくらいじゃこの骸骨はまだまだへこたれない・・・


「そ、そうでしたか。貴女がまさかそんなに私を嫌ってらっしゃったとは・・・」

・・・ん?

「そうとも気づかずに馴れ馴れしい態度を取ってしまって申し訳ありませんでした」

え、ちょっと・・・

「貴女が構ってくださることが嬉しくてつい出すぎた真似を・・・」
「いや、あの・・・」


あ、あれェ!?なんか予定と違うんだけど・・・。
いつもみたいに「そんなやり取りも数十年ぶりで楽シィー!」とか言ってくるくる回ったりするんじゃないの?
それで、あーもーコイツに嫌味言ったって全然効かないやとかって私がまた怒って
そんで二人で騒いで、そんで最後には二人で笑って・・・



あ、れ・・・?私結局ブルックに構って欲しかっただけ?



「分かりました。貴女のご気分を害さないよう、これからは態度を改めて・・・」
「い、いやだよ!そんなの寂しい・・・っ」
「え?あの、私のことを嫌ってらっしゃったのでは・・・?」
「違う!嫌ってなんか・・・嫌ってたんじゃなくて気になってたっていうか・・・その、えと・・・」
「ええと、気になるというと・・・?」
「だから、気になるっていうのは・・・好きって、こと・・・?」
「ええーッ!?わ、私のことをですか!?貴女が!?私を!?そそそれは恋愛感情ということでしょうか・・・?」
「・・・そうなのかも・・・」
「ほほほ本当ですか!?まさか!信じられない・・・っ!!」
「・・・・・・・・・・・・・・・・」
















(アンタを好きだなんて、私だって今知ったんだ!)











まさかこの骨に私が恋だなんて・・・
信じられない!ありえない!

でも、なんかこの男を前に私は現状頬を染めちゃったりしている訳で。
なんか胸なんかも高鳴っちゃったりしている訳で。
コイツが構ってくれなくなったら嫌だとか思っちゃった訳で。
たったそれだけのことに泣きそうになったりしちゃった訳で。
こんなのもう・・・否定しようがない・・・。


気分を高揚させながら絶望するという器用な真似をしている私の前で
ガイコツ似非紳士はいつものごとくくるくると回ってみせた。


「ヨホホホホ!生きていて良かったーーー!あ、一回死んでるんですけどもッ!
幸せです!私は今とても幸せです!ヨホホホーッ!」


ぺたりと座り込んで心底幸せそうに回る骸骨を呆然と見上げているうちに
段々笑いが込み上げてきた。


・・・それもこっちのセリフだよ。


ふつふつと込み上げてきた笑いはやがて耐え切れなくなり
私は大声を上げて笑い始めてしまった。


信じられないことだけど、どうやら私はこのガイコツ男と両想いになってしまったらしい。
さらにありえないことに私はそれにどうしようもなく幸せを感じている。


骸骨が恋人?
・・・上等だ。傑作じゃないか。
ここは何でもありのグランドライン。
そんなことが起きたって良い。

きっと・・・きっとブルックが恋人なら楽しいよ。


ふふふっと笑う私の前で白骨の紳士はどこまでもテンション高く
くるくると回り続けていた。















「ああ〜〜〜回り過ぎて目が回りました・・・目なんて無いんですけどもッ!
ヨホホホホー!スカルジョークッ!!」


・・・やっぱりちょっとうざいかもしれない。













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恥骨見せてって・・・どんなだ