++ 青キジ ++
「と言う訳で今回の任務は長期になりそうなんです」
「あ〜、いってらっしゃ〜い」
「・・・・・・・・・・・・・」
ソファにだらだらと寝転がったままおざなりの返事をよこす上司に深々とため息をつく。
「なんかもっとこうないんですか?曲がりなりにも恋人としばらく会えなくなるっていうのに」
「あらららら・・・なに、ちゃんなんかして欲しいの?ならオジサンとイイコトする?」
「・・・どこのガードレール下の酔っ払いのセリフですかそれ」
面倒臭そうに緩慢な動作でアイマスクをずらしてこちらに視線を向けた彼を睨み付けると
コエーコエーと全然怖くなさそうに言った。
「離れるの寂しいとかそういう感慨めいたものはないんですか、あなたには?」
「まぁ寂しくねェ訳じゃねぇが・・・あ〜・・・いいや、なんでも」
よくねェよ、と私は額に青筋を浮かべる。
まぁこの人相手に本気で怒るのはエネルギーの無駄遣いだって分かってるんだけど。
でもこっちばっかり寂しいとか会いたいとか思うのはやっぱり癪だしムカつく。
「まったく、ほんっとに覇気がないんだから。もし私が仕事先で海賊にやられたらどうしようとか心配したりしないんですか?」
「そんなのいちいち心配してたらきりないでしょうが」
「それでも少しは気にかけて欲しいもんなんです!あ〜ぁ・・・せめてももし私が殺されたら仇打つくらいの情熱は欲しいもんですね」
「・・・別にいいけどさ。そいつのこと俺に差し出してからにしてね。犯人捜すのめんどいから」
・・・この人は恋人が殺された時まで怠惰を貫くのか・・・
「じゃねェと俺力の届く範囲全部凍らしちまうから」
「・・・は?」
「俺自分のもんに手ェだされんの嫌いなのよ」
・・・・・・・今なんかすごいこと言われた気がする。
つまり私が死んだら犯人を殺るために手当たり次第凍らせると?
ある種究極の怠慢というか面倒くさがりとも言えるけど、この人にそこまで言わせたのはすごい事な気がする。
しかもさらっと自分のもんって言ったよ・・・普段そんなこと言わないくせに・・・。
まぁ当の本人は顔色一つ変えずに相変わらずだらっだらしているけど。
そんな人間に頬染めてる私ってどうなんだという気もするけど。
まぁなんでもいいや。嬉しいから。
・・・最近この人のいい加減さが移ってきた気がするな。
私は顔が緩みそうになるのを堪えながら
「大将が犯罪者にならないよう、生きて帰ってきます」
と敬礼してみせた。
「ん。そうして」
彼はふっと笑ってから大欠伸をした。
「それじゃあ行ってまいりますね大将」
「・・・だめ」
「は?」
「もっかいやり直し」
唐突なダメだしに首を傾げたが、上司命令なので仕方なく今度は敬礼しながら挨拶をした。
「・・・行ってまいります、青キジ大将」
「却下」
・・・この人なにがしたいんだ?
意味のわからない言動に困惑して見つめると、ふいに彼の視線にプライベートな色を感じた。
あぁ・・・と頬を緩めてクスリと笑いかける。
「行ってくるね、クザン」
「はいよ、いってらっさい」
その満足気な笑みが可笑しくてまた笑った。
さて、ビシッと仕事してさっさと生きて帰ってきますか。
この世界を終わらせないために
(自分の生死に世界の存続がかかってるなんてものすごい愛の言葉だ)
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青キジ好きです