サンジに肩を揺らされて、はゆっくりと目を開く。

ああ、サンジが作業するのを見ていたら眠っていたのか。

まだぼんやりする頭でそんなことを思って、また瞼はとろとろと下りてくる。

火が傍にあるからなのか、それともサンジが居るからなのか。

もう少し寝ていたかった。

ちゃん、ちゃん。起きて。」

いつものサンジなら眠らせてくれるのに。

は閉じそうになった目を開けて、机に頬を当てたままサンジを見上げた。

「…ちょっと眠いの。」

「うん、分かってる。でもちょっとだけ。な?」

サンジが優しく目を細めるから。

惚れた弱みでは、まだ眠いと駄々をこねる体を無理矢理起こした。

「ごめんね、無理に。」

「ううん。サンジくんが我侭言うのは珍しいからちょっと嬉しい。」

奉仕するばかりのサンジだから、たまには甘えて欲しいと思う。

はふにゃりと笑ってサンジを見上げた。

「それで、どうやって甘えてくれるの?」

サンジは少し前髪を揺らし、小首を傾げる様にして微笑した。

上下に少し揺れる銜え煙草はサンジが照れているサイン。

本人が気付いているのかは定かでは無いが、は知っている。

は小さく笑って返答を待った。

「立ったらちょっと目、閉じててくれねえかな。」

「はーい。」

立ち上がり椅子を入れるとが目を閉じた。

サンジに手を引かれ、ドアが開く音がしたからキッチンから出るのだと

思うと、そこで移動は終わったようだった。

「目、開けて。」

「うん。…わあ、いつの間に?!」

看板を白一色に変えた雪。

両手を鳴らして驚き、そして喜ぶにサンジは満足そうに笑った。

ちゃんが眠ってすぐに降り出してさ。

 みんなもう寝ちまって、蹴散らかす奴が居ねえから、薄らだけど積もったみてえ。」

「成る程。寝てて得しちゃったかも。」

わあ、とまた声を漏らしたが早速一歩踏み出そうとしたのを

僅か慌てたサンジが腕を引いて止めた。

「ちょっ、待って!」

「う、うん?」

腕を引かれサンジの胸にとん、と背中をぶつけながらが足を引っ込めた。

サンジはこれを見せたかったのだろう、と思ったがどうやら違ったようだった。

きょとんとしたを見下ろして、サンジは苦く笑った。

思った以上にが雪に喜んで、早速足を踏み出そうとするから少々手荒になってしまったけれど

機嫌を損ねたわけでもなく、ただ不思議に思っているだけのようだ。

そしてサンジはすっかり冷えたの手に、手を重ねた。

「ごめん、冷えちまった。」

「ううん、全然。雪に驚いて気付かなかったし。」

頭を横に振ってがサンジを続きを促すかのように見上げた。

サンジは悪戯っ子のように笑って、その手をポケットに突っ込んだ。

「こういうのって、ちょっとイイと思わねえ?」

の手とサンジの手、握られたままポケットに入れられて

少々ポケットは窮屈だが、伸びてしまえばしまったで

格好が悪いから、とまた手を繋いでポケットに入れてしまえばいい。

「ふふ。そうね、素敵。それで次は?」

の同意に満足したサンジがそっと一歩。

誰の跡も無い雪に踏み出した。

一歩分前に出たサンジがを振り向く。

「おいで。」

繋いだままの手を辿るようにが一歩踏むと、またサンジが一歩進んでが進んだ。

二人の後ろには、二人分の足跡。

それを見つめ、サンジが幸福そうに顔に微笑みを昇らせた。

「俺たちだけの足跡。」

「そうね?」

頷いたものの、意図の見えないサンジにが瞬きを一度。

ルフィたちが眠って雪の降る船はとても静かで

白く色を変えた床はまるで別世界。

蜜柑の木にすら積もった雪が更に、普段の世界と区別させる。

分からない、と顔に出すにサンジは少しだけ鼻を高くして言った。

「世界に俺たち二人だけ…、とか思わない?」

「…サンジくんと私だけ?」

「そ。」

二人だけの足跡と、真白な船を見回して、最後にサンジを見てが笑った。

「ロマンチストね。」

「ラブコックですから。こういうの嫌い?」

「ううん、好き。」

ぶらりと空いた片手をがサンジのもう一つのポケットに入れた。

これで二人は向かい合う体勢。

「っ…ずりいなあ、ちゃんは。」

「どうして?」

今度、悪戯顔をしたのは

サンジは敵わないとばかりに破顔して、暇だった手をの背に回した。

「手も離したくねえけど、両腕で抱き締めてえ、なんて思っちまうよ、この体勢は。」

がくすくすと笑って、繋がれていない手を

ポケットから出すと、サンジの煙草を口から取った。

「じゃあ、これは?」

サンジはぐるりとした眉を下げて、これ以上の幸せはないと

へにゃりと笑い、顔をに寄せた。

「キスしたくなる。…いいかい。」

「勿論。」

サンジの軽い睦言にが笑みをのせ、目を閉じた。

静かな静かな、非日常的な夜が更けて行く。









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 『清福』の春瑞揺様より相互リンク記念v

 サンジが格好良い〜!! ><* ひぃッ惚れる・・・惚れ直す・・・っ(メロメロ)
 『こういうの嫌い?』>大好きですッ!!!(握りこぶし)
 いいなぁロマンチストサンジvvこれでこそサンジvvv熔ける・・・v
 春瑞様ありがとうございました!!!