「銀ちゃん聞いてよぉ〜」


半泣き状態で万事屋に駆け込むと、椅子に座り机に足を投げ出してジャンプを読むという
何ともお行儀の悪い格好をした銀ちゃんが、いつも通りの死んだ魚のような目でお〜と気の無い返事をした。

椅子の側にいき床に座り込み涙目で見上げると、銀ちゃんはこちらを一瞥してからジャンプを閉じてこちらに向き直る。

「どした?」
「・・・失恋した」

言えば銀ちゃんは表情を変えないまま、それはそれはと微妙なつぶやきを寄越した。


「いや、失恋したのは結構前なんだけどね。告白もしないうちに好きな人いるって聞いちゃってたし。
 で、結局私は何にも伝えられないまま向こうは付き合いだしちゃって・・・」

文法もままならない言葉を鬱々と話す私を銀ちゃんはじっと見つめる。

「そしたら今日さ、その人に恋愛相談されちゃって・・・
 なんか付き合い始めたのは良いんだけど彼女の気持ちがよく分からなくて不安だとかなんとか」
「半分惚気だな」
「でしょう!?こっちは必死で諦めようとしてるって言うのに、どうすれば良いと思う?とか聞かれて私なんて答えれば良いワケ?
 だからって不安に付け込んで別れた方が良いよなんて言えないし、
 でも内心ではそんなこと思っちゃって、すごい自己嫌悪して・・・」
「うん」
「ひどいよね、思いを寄せてる人間に恋愛相談だなんて。
 そりゃあさ、こっちの気持ちなんて伝えてないんだから身勝手な言い分だなんて百も承知だよ。けどさ、そんなの・・・」
「そうさなァ、傷つくよなァ。ガラス細工のような心が粉々だよなァ」
「うん・・・」


銀ちゃんの手が伸びてきて私の頭をわしわしと撫でた。
それを合図にしたように目からぼろぼろと涙が零れてくる。
銀ちゃんの手は大きくて私の頭なんてすっぽり包み込んでしまう。
それに安堵してようやく私の中にわだかまっていたものが解放された。


「ただなあ、。一つ残念なお知らせがあるんだ」
「な・・・に?」
「お前はそれを責められる立場じゃねェ」


銀ちゃんに甘えきっていた私は突然否定されてショックを受けた。
ぐちゃぐちゃの心は意味をちゃんと理解しきれずに乱れる。


「なんで、そんなこと、言うの・・・?」
「だってお前今そいつと同じことしてるもん」



意味が理解できなくてしばしぽかんと銀ちゃんを見上げる。
銀ちゃんは焦るでもなく取り乱す訳でもなく、さっきと同じ表情をしているからますます理解しづらい。

だけど。それって。まさか。


「銀さんさっきから好きな女に恋愛相談されて繊細なハートがぼろぼろだコノヤロー。っつーわけで」















 (・・・マジですか?)(大マジです)











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