に願いを−



「“願いのピノが入っていたら願い事が叶うかも?”だって」


たった今コンビニから買ってきたピノのパッケージを眺めながらが呟いた。

「願いのピノぉ?なんだそりゃ」
「星型したピノなんだってさ。へぇ〜星型もあるんだね。ハート型があるのは知ってたけど」
「んなもん都市伝説みてェなもんだろーが。俺ァピノもチョコボールも散々売上に協力してやってっけどよォ
 ハートのピノも金のエンゼルも銀のエンゼルも生まれてこの方拝んだことねェよ。お菓子会社のホラなんじゃねェの?」
「私昔金のエンゼル当ててキョロちゃんの缶詰もらったことあるよ」
「マジでっ?」

すげェなぁ俺なんか精々ガリガリ君の当たり棒がいいとこだぜ、なんて喋りながらパピコの封を開ける。
まだ硬ェから押し上げてもなかなか中身が出てこねェ。まぁでも一本目食ってるうちにいい感じになってくんだろ。
パピコって二本入ってんのがいいよね、お買い得ぅみたいな。
万事屋のソファにだらりと腰掛けてパピコちゅーちゅーし始めた俺の横で
私そういうのの引きが良いみたいなんだーとか言いながらもピノの箱の開け口に指を差し込んでベリッと開封した。
まじでかー、今度試しにに宝くじでも買わせてみっかなぁ。あーパピコ美味ェ。

の動きがふいにぴたりと止まったのに気づいて、ん?と視線を投げかける。

「・・・星型のピノ入ってる」
「うそォ!?マジでェ!?」

がたがたッと立ち上がりの手元を覗き込むと、
そこには少し歪な、けれど確かに星型をしたピノが普通の丸型のやつに混じってぽつねんと入っていた。

「すっげ・・・本物はじめて見た」

本物を見た感動と、マジでこんなもん存在してたのかっつー驚きと、
コイツ本当にすげェなマジで宝くじ買わしてみっかなんて雑念を抱きながらまじまじとそれを凝視する。
言ってる側から本当に入ってるなんてねぇ〜ときゃらきゃら笑っていた
手元のそれをガン見する俺とピノとを交互に見比べ、やがてピック取り出し迷う事無く星型のそれにぷすっと刺した。

「おまっ、ちょ、いきなりィ!?いやフツー最後までとっとくだろうがこれは、っつーか記念に写メとか撮った方が・・・」

焦って捲くし立てる俺に、は刺したそれを差し出してくる。

「へ?」
「はい銀ちゃん、あーん」
「は?や、いいっていいって!」

別に食いたくて見てた訳じゃねェし、いや食いたいは食いたいけど
っつーかこれじゃあ俺が食いたくてがっついてたみたいじゃねェか!違うから、銀さんもいい大人だから!
そりゃ当たったのが新八とか神楽なら横取りしてやろうとか思ったかもしんねェけどよォ
ちゃんからはさすがに取れねェよ、うん。そんな可愛い彼女から楽しみ奪うような真似・・・

「いいからっ、ほら、早くしないと溶けるよ?はい、あーん」

あーんて・・・と思いつつも俺は大人しくそれに従いガキみてェに口開けて
が何やら楽しげな顔して口に入れてくる甘くて冷たいそれを迎え入れた。
それを租借しながらやっぱちょっと勿体なかったな、でもやっぱ美味ェなピノ。とか考えながらもぐもぐ。
がそんな俺を見てにこぉっと屈託ない笑顔を見せて美味しい?とか聞くから美味ェともごもご答えた。

それに満足気に笑って普通の丸いピノにぷすっとピックを刺して自分もそれを食べる。
俺と同じようにもぐもぐして、うんやっぱり美味しいねぇとか頬を緩ましているが
その頬がちょっと赤くなってんのは多分自分がやったことに今更照れてんだろう。
っつーか自分でやっといて照れんなよ。俺もつられて照れちゃうじゃねェか。
ちゃんが照れんのは可愛いけどいい歳こいたオッサンが頬染めても気持ち悪ィだけなんですけど。
本気で気持ち悪ィな俺と思いつつも自分の顔がだらしないことになってんのは鏡見なくても分かる。
ちょっとなにこの雰囲気?なんか甘酸っぱいんですけど。付き合いたての中学生ですかコノヤロー。

「あ、そういや願い事してねェや」

気恥ずかしい空気を変えようと何気なく呟くと、私がしといたから大丈夫、とがピック銜えながらもごもごと喋った。
何を?と聞けばごくんと飲み込んでにぱっと笑う。

「今度は銀ちゃんにも当たりますよーに、って」

思いがけない可愛らしい願い事に一瞬面食らって、やがてふっと吹きながら小っせー願い事だなァオイとパピコを齧った。
アイスの星に願うんだからそのくらいで丁度良いでしょ?とも笑う。

あーあ、今日はもうずっと締りのねェ面から戻りそうにねェや。
パピコ銜えながらも下がることのない口角に我ながら呆れる。

せっかく貴重なもん貰っといてこんなん言うのも悪ィんだけどよォ
銀さん星型のピノもらったことよりもお前にあーんしてもらったことの方がやたら嬉しいわ。
だからまたが当てて、そんでまた俺にあーんしてくれたら嬉しいと思うので
次また当たるのもの方だったらいいなと銀さんは思いました(まる)・・・あれ?作文?

お礼にパピコ一口食うかと聞けば、銀ちゃんが自分の分のおやつをくれるなんて!とか驚愕の顔を作ってみせる。
てめ、失礼なヤツだなァそんなこと言うならもうやらん、とパピコ銜えたままそっぽを向くと
うそうそごめんなさいなんて笑いながら背中にしがみ付いてくる。
それが嬉しかったから全然機嫌なんて悪くねェけどもう少しだけ拗ねたふりをすることにした。

と一緒に食うアイスはいつにも増して甘い気がする。












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 なんて事はないけど愛しい日常