−The Strongest−


俺は今ある疑問を抱えていた。
それは、“この船で誰が一番強いのか”ってこと。
この船には世界一を目指してるヤツがいっぱい乗ってるし
みんな強いから、結局誰が一番強いんだろうと思ったんだ。
それをナミとロビンの前で口にしたら思ってもみない答えが返ってきた。

「そぉーねぇ、じゃないかしら?」
が一番なのか!?」
「そうね、私もそう思うわ」
「ロビンも!?俺にはナミやロビンの方が強そうに見えるぞ?」
「私はには弱いのよ、お願いされると断れないし」
「私もついつい甘やかしたくなるわ」
「へぇー・・・?」

二人の言ってることはよく分からなかった。
だってはすごく優しいし、ナミみたいに殴ったりしないし
ロビンのように悪魔の実の能力者でもない。
いつもにっこり笑いかけてくれるが俺は大好きだし
が一番強いなんてある訳ないって思ったんだ。


だけど、その後に敵襲があった時・・・

ルフィやゾロやサンジがあっという間に倒したから
みんな無事だったんだけど、ゾロが腕を銃弾で怪我しちゃったんだ。
でもゾロはこういう時、かすり傷だとか言ってすぐ放っておこうとする。
俺は医者だから、ちゃんと診せろっていつも言うんだけど
なかなか言うことを聞かないんだ。

今回もまた俺がゾロとそんな事を言い合ってると
そこへがやってきたんだ。
「ゾーロー?」
は笑ってるんだけど、なんかいつもと違う笑顔だった。
それを見たゾロが見たことないような顔をして、だらだら汗をかき始めた。
・・・やっぱり怪我がひどかったのかな?
「そんなに時間かかる事でもないんだから、ちゃんと診てもらえばいいでしょう?」
チョッパーを困らせたら可哀想よ?ってにっこり笑ってが言うと
ゾロは青い顔をしてぶんぶんと頷いた。
・・・怪我でいっぱい血を流したせいで血の気が引いてるのかな?
俺が不思議がってると、ゾロが手当てされながらぽつりと呟いた。
「アイツにだきゃ勝てねぇ・・・」
「えっ!?はそんなに強いのか?殴ったりすんのか?」
「アイツはそんな事しねェよ。ただ昔っから、
 特にああいう顔してる時のアイツには逆らえねーって体にインプットされてんだよなァ・・・」
他のやつらには言うなよって凄まれたから、今度は俺がぶんぶんと頷いた。

あのゾロが勝てねぇなんてすごいなぁと思ったけど
まだ俺は信じられなかった。


島についてサンジの買出しに付き合ったとき
サンジがお店の女の人に鼻の下を伸ばしていた。
なんか色んな言葉を並べてたみたいだけど、俺にはよくわからねェ。
でもその女の人はなんだか嬉しそうで、野菜を安く売ってくれた。
店を出てからサンジが俺に
「今の、さんに言うんじゃねーぞ?」
と俺に言った。
「なんでだ?怒られるのか?」
「んー、怒りはしねェんだけどな。っていうかいっそ怒ってくれた方が嬉しいんだけど・・・」
「えぇ!?怒られて嬉しいのか?」
「まぁまだチョッパーには分かんねェよ」
そう言いながら俺の帽子をぐりぐり撫でる。
確かに俺には分かんなかった。俺はに褒められた方が嬉しいのになぁ。
「・・・なぁサンジ、はサンジより強ェのか?」
「うーん、強ェっつーか・・・。ははっ、敵わねぇのは確かだな」
俺はさんには勝てねェんだ、と嬉しそうに笑った。
勝てねェのになんでそんな嬉しそうなんだろうと俺は不思議に思った。
でもどっか遠くを見つめるサンジは見たことがないくらい優しい顔をしていて
よく分からないけど、はやっぱすげーなと思った。




それからしばらくしたある日、サンジが怒りながら甲板に出てきた。
「クソゴム共!テメーらまた盗み食いしやがったな!」
ルフィと俺とウソップの三人は釣りをしながらびくっと震え上がった。
昨日の夜、腹減ったってキッチンに行くルフィに俺もついていって
冷蔵庫のものいっぱい食べちゃったんだ。

「だって腹減っちまったんだからしょうがねーじゃねーか!」
「ふざけんなっ!テメーら三枚に下ろしてやるっ」
ルフィとウソップが蹴飛ばされて、俺は首根っこ掴まれた。
ぎゃー!殺されるー!!
するとそこにがやってきて、サンジを止めてくれた。

さん、コイツらに同情することなんかねェよ」
「そうよ、いい加減にしてくれないと、こっちも命にかかわることなんだから」
「まぁまぁ、三人は成長期で食べ盛りだし・・・」
ー!お前分かってくれんのかー!」
「ありがどーーッ!」
「さすが俺様の部下だなっ!」

喜ぶ俺たちはサンジにぎろりと睨まれてまた竦み上がった。
そんなサンジの肩をぽんと叩いてがにっこり笑う。
そして俺たちのほうへ向き直った。

「でも確かに食料がなくなってしまうのは問題だわ。
 だから、三人が食べた分、私の食事を減らせば良いと思うの」
「お前なんてイイ奴なんだッ!」
大好きダー!」
「もうなんか女神さまに見えるぜっ!」
拝む俺たちには微笑みかける。
「そうねぇ・・・今回は一週間くらい断食したら良いかしら?」
「いっ、一週間も食わねーのか!?」
「そんなことしたら死ぬゾ!」
「そ、そこまですることねぇんじゃねーか!?」

怯える俺たちには悲しそうな顔をした。
「そうね・・・お腹が空くのは辛いわ。でも三人のためだし・・・」
がそこまですることねーよ!」
「そうだよ!俺たちがガマンするから!」
「だからそんな悲しそうな顔すンなよ!な!?」

「私は大丈夫よ?だから、これからみんなが一回盗み食いする毎に一週間断食を・・・」
「そんなことすんなー!俺今度からちゃんとガマンすっから!」
「ごべんー!オデ達もう盗み食いじねーがらっ」
「だからそんな事言わねーでくれー!」

俺たちは三人でおいおい泣きながら、もうじまぜん!とに誓った。
だってにそんな辛い事させたくねーし、俺ガマンするよっ!

そしたらは、じゃあ食べちゃった分釣り頑張ろうか?とまた優しく笑ってくれた。
俺たちもぱぁっと笑顔になって、よし!釣り頑張るゾ!と走っていった。


そんな俺たちを、他のクルーが唖然と見ていた。
「すごいわ・・・」
「まさに北風と太陽ね」
「さすがさん・・・」

みんなが何を言ってるのかよく分かんなかったけど
ゾロが「やっぱアイツは最強だ・・・」って言ったのだけはちゃんと聞こえた。
やっぱり意味はよく分かんなかったけど、
とにかくが笑っててくれればそれでいいやって思った。


よーしっ俺釣り頑張るぞ!







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