−Let's take a bath!−
一つ屋根の下で共同生活を営むとなると、起こりうるハプニングというものがある。
例えば共同スペースにおいての鉢合わせ。
それがプライベートな空間においての、しかも男女間の鉢合わせだったりするとなかなか劇的な展開も期待される。
平たく言えば“お風呂でバッタリハプニング”的な。
そして今まさにその事態に遭遇した男女が一組・・・と言っていいのだろうか?
言い渋ったのはその男の方が異形のガイコツ人間であったからだ。
まぁとにかくここは一組、としておこう。
女は浴室の扉を開き足を踏み出した瞬間にその男を見止めて固まった。
半分浴槽に浸かりかけていたそのガイコツ男の方もまたしかりだ。
「なっ・・・」
「あ・・・」
なんとも形容しがたい空気が二人の間に流れる。
そしてそれを破ったのは彼女の叫び。
「なんでシャワーキャップに胸までタオル!?」
「エェェェ!?第一声それですかッ!?」
てっきりきゃーッとか、いやーッとかいう反応を期待(?)していた男は想定外のツッコミに思わずツッコミ返した。
言われた女は心外だと言わんばかりに顔を顰める。
「いやそりゃ私だって風呂場で異性と遭遇したことに対して反応したかったけどさ。
だってアンタツッコむとこ多すぎるんだもん。なんでタオル胸まで巻いてんのよ?
アンタ男じゃん。胸ないじゃん。ないどころか骨じゃん。隠す必要皆無じゃん。
そんでなんでシャワーキャップよ。ガイコツがシャワーキャップって絵面おかしいでしょうがどう見ても」
「そ、そんなにいっぺんにじゃんじゃん言われたら私面食らってしまいますよ!私、面ないんですけども!ヨホホホホ〜!」
「だからおかしいっつってんの」
「とか言いながら何故当たり前のように入ってくるのですかッ!?」
「別にいいじゃん、骨だし」
「エェェェェッ!?」
至ってナチュラルに入ってきた女に男は面食う(面はないのだが)。
そ、それでは私が上がりますねッ!と腰を上げた男を女はガッシリと掴んで湯に引き戻した。
「良いから良いから、一緒に入ろうよブルック。サニー号のお風呂は広いんだし」
「い、いやしかしさんそういう問題では・・・」
「ほら、早くさっきの質問答えてよ」
「え?あ、これはですね、深い理由がありまして・・・」
「うん?」
「・・・ツヅク」
「今言えやッ」
ヨホホホ〜と笑ってブルックは毛根大事ですからねッ!と答えた。タオルの方はあまり意味はないらしい。
「ああ、そう言えば髪の毛大事にしてたもんね」
「そうなんです。ヨホホホホ」
「でもさ・・・それ、ナミのじゃない?」
「あ、そういえばなんだかいい香りがします」
「・・・殺されるよ」
「きゃーーーッ!恐ろしい!身の毛もよだちますねっ。私身に毛なんてないんですけども!ヨホホホ〜スカルジョークッ!」
ばしゃばしゃと浴槽内で騒ぐブルックには迷惑そうに眉を顰める。
「あ、じゃあ私はこれで・・・」
「待ってってば。ちゃんと体とか髪とか洗っていきなよ。っていうかぶっちゃけそれが見たくて引き止めてんだけど」
「え!?私が体洗うところをですか?」
「うん。その骨の体どうやって洗ってんのかな〜って。好奇心」
はぁ、と困ったような返事を返すブルックはバスタブの端の方で三角座りをして小さくなった。
言っていることは不躾極まりないのだが、彼女はいつだって思ったことをそのまま口にする性格。
そんな彼女を知っている為それが悪意のある言葉でないことは分かっているし、不愉快とも思わない。
けれどしかし、とブルックは閉口した。
いくら骨とはいえ自分は男なのだし、さらに不味い事にはほんのり好意を抱いている相手だったりもするのだ。
そんな女性が同じ湯船の中に浸かっているという状況にあるはずもない血液が体中で沸騰していくような錯覚に陥る。
タオルを巻いているとは言っても濡れてぴったりとその女性らしい体に張り付いたそれは余計に色欲を煽るアイテムでしかなく
白いタオル地越しに透ける肌色は目の毒としか言いようがない。
切羽詰った状況にいつものセクハラ発言をする気にもなれずにブルックは明後日の方へと視線をさ迷わせた。
いつものノリで「タオル取って見せてくださいヨホホホ〜!」なんて言ったら本当に取りそうで怖くて言えやしない。
悶々と葛藤するブルックの心情など全く気づくことなく、は無邪気に擦り寄って、かと思うと唐突にそのシャワーキャップをむしり取った。
「毛根どうなってんのこれ?」
「ぎゃあああっ!アフロだけは!アフロだけはッ!!」
アフロを鷲掴みにして根元を覗き込もうとするにブルックが悲鳴を上げる。
必死でアフロを庇うブルックに悪いようにはしないって、と悪代官のようなセリフを吐いてはにじり寄った。
その瞬間。暴れた弾みでの巻いていたタオルがはらり、と湯船に落ち。
「あ・・・」
「ぶふーッ!!」
勢いよく鼻血を吹き出してブルックはがしょりと浴槽に崩れ落ちた。
そんなブルックを見下ろしては眉根を寄せる。
「だからなんでガイコツが鼻血・・・?」
やはり微妙にズレた発言が浴室に虚しく響き。
鮮血に染まった湯船にガイコツが浮かぶ様はさながらホラー映画のようだった。
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ブルックのバスタイムとかすごい興味ある・・・