−旅立ち−
砂浜に打ち寄せる波から少し離れて
目の前に広がる海を見ながら並んで座った。
私にとっても大好きな海だけれど
明日になればこの人を連れ去ってしまうものだと思えば
今日ばかりはその青さすら恨めしく感じた。
「・・・ルフィは一緒に行かないんだね」
「あいつにはまだ早ェからな。けどあと三年もすりゃあいつも海に出るだろ」
「そっか・・・一緒に行くもんだと思ってた・・・」
ルフィが成長するまでエースも出発を遅らせれば良いのに・・・
なんて身勝手な想いが過ぎった事を、どうかエースに悟られませんようにとそっと祈った。
波の音だけが耳に響く。
私の二人の幼馴染はそっくりだ。
太陽みたいな笑顔も豪快な性格も真っ直ぐな生き方も。
だけどやっぱり少し違う。
ルフィならきっとこんなとき
一緒にいこうとか、迎えに来るから待ってろとか、言えてしまうんだろうけど
エースはルフィよりちょっとだけ大人だから
それがきっと彼のジレンマ。
「・・・」
「“ごめん”は無しだよ?」
そう言うとエースは驚いたように私を見た。
あなたが夢を諦めないことなど分かっていた。
だから謝ったりしないで。
それでも好きになったことを後悔なんてしていないから。
無理にはしゃいで強がって見せると
その笑顔が切なく歪んだ。
そんな顔しないで。
私はあなたの笑顔が好きなんだから。
好きだも 愛してるも
残していった後、私が余計に寂しがると思って言えないんでしょう?
まるでその代わりみたいに握る手に力がこもる。
いつだって思うままに行動するあなたが
こんな風に時々、私にだけ向ける不器用さが愛しかった。
何も言わずにただただ広がる青を見ていた。
触れているのにただ切なくて、涙だけが溢れた。
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フーシャ村での別れ